100円ショップ タイ

【アジアの小売りを考える】強制労働リスク調査・日本の企業対応遅れが問題に

安い労働力で経費を抑えることができることからアジアは世界の工場と呼ばれています。

しかしそれはひと昔前のこと。

今の時代は、経費を抑えて安く商品を売るだけでは企業イメージが悪くなる一方です。人権配慮の時代がきています。

イギリスの人権団体「Know The Chain」が世界のアパレル企業64社を対象に調査を行ったところ、日本の企業には大きな問題点があることが浮き彫りになりました。

調査は2020年から2021年に行われた最新のものです。

海外の労働者や投資家が状態を把握できるよう自社サイトに英文での掲載を推進しているものに対してのランクづけになります。指摘された内容と問題点について考えます。

 

日本の問題点 評価が悪い日本の企業

ABCマート

5段階評価の最低ランク(関連情報を一切公表していない)

ABCマートは関連情報を一切公表していないことが問題とされました。

 

しまむら

5段階評価の最低ランク(関連情報を一切公表していない)

強制労働の申し立てを行われているにも関わらず、強制労働リスクに対する措置を一切行っていないことが問題とされました。

 

良品計画

5段階評価の下から2番目のランク(最低限の措置しか講じていない)

中国ウイグル自治区にある工場について、同社は「徹底した調査を行った結果重大な問題は確認されていない」と報告していることが問題であるとされています。KTCは同地区での徹底した調査は不可能であるのにそのような報告をすることが問題であることを指摘しており矛盾をズバリと指摘しています。

 

評価が改善された日本の企業

ユニクロ 

5段階評価で上から2番目(大半の領域で措置を講じている)

賃金と社会保険に関する申し立てに対応し措置を講じたことが評価されています。

 

アシックス

5段階評価で上から2番目(大半の領域で措置を講じている)

タイの工場でのハラスメント申告の相談があったことを開示し対策を講じていることが評価されています。

 

今後の企業の在り方

アジアの賃金が安いエリアで労働者を使って人権が無視されていた時代は終わりました。

 

今後の社会では人権を重視したフェアな労働が世界のスタンダートになる時代が来ています。

日本企業は古い体制が多いためハラスメントを未だに認識していない企業も多いはず。アメリカの大統領も変わり先日のG7での中国への強い指摘もあったことから今後急速に世界の情勢は変わっていくでしょう。

これまで無視されてきた貧困国、発展途上国の労働者への対応をフェアに行える国と企業の商品が選ばれる社会がやってきます。今後は安い賃金で商品が作れなくなることから小売りの単価も上がっていくことが予想されます。2分化された社会が更に色濃くなっていくでしょう。安いものが流通する国、流通しない国と分断された社会が浮き彫りになってきます。

日本は言うまでもありませんね。消費者心理に対応し、高くても売れる商品展開が今後は更に広がっていくことが予想されます。日本企業は早々に舵を切る必要がありそうです。

投稿者: 旅なび